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2012年4 月27日

NO.105-3(NO.105-1関連その2)山下流サラリーマンの流儀

今回(105-1のメインコラム)の関連資料としてご紹介するのは、「福翁百話」(服部禮次郎編 慶應義塾大学出版会)です。

“山下流サラリーマンの流儀”に通じる“福澤の人間蛆虫論”です。

 

「福翁百話」(服部禮次郎編 慶應義塾大学出版会) (七)「人間の安心」(人間蛆虫論

 

宇宙の間に我(わが)地球の存在するは大海に浮べる芥子(けし)の一粒と云うも中々おろかなり。

吾々の名づけて人間と称する動物は、この芥子粒の上に生れ又死するものにして、生れてその生るる所以(ゆえん)を知らず、死してその死する所以を知らず、 由(よつ)て来(きた)る所を知らず、去て往く所を知らず、五、六尺の身体僅(わずか)に百年の寿命も得難(えがた)し、塵(ちり)の如(ごと)く埃(ほこり)の如く、溜水(たまりみず)に浮沈する孑孑(ぼうふら)の如し。

蜉蝣(ふゆう)は朝(あした)に生れて夕(ゆうべ)に死すと云うと雖(いえど)も、人間の寿命に較(くら)べて差したる相違にあらず。

蚤と蟻と丈(せい)くらべしても大象の眼より見れば大小なく、一秒時の遅速を争うも百年の勘定の上には論ずるに足らず。

左(さ)れば宇宙無辺の考を以て独り自から観ずれば、日月も小なり地球も微なり。

況(ま)して人間の如き、無智無力、見る影もなき蛆虫(うじむし)同様の小動物にして、石火電光の瞬間、偶然この世に呼吸眠食し、喜怒哀楽の一夢中、忽(たちま)ち消えて痕(あと)なきのみ。

然るに彼の凡俗の俗世界に、貴賤貧富、栄枯盛衰などとて、孜々経営して心身を労するその有様は、庭に塚築(つかつ)く蟻の群集が驟雨の襲い来(きた)るを知らざるが如く、夏の青草に飜々たる飛蝗(ばつた)が俄に秋風の寒きに驚くが如く、可笑(おか)しくも又浅ましき次第なれども、既に世界に生れ出たる上は蛆虫ながらも相応の覚悟なきを得ず。

即ちその覚悟とは何ぞや。

人生本来戯(たわむれ)と知りながら、この一場の戯を戯とせずして恰(あたか)も真面目(まじめ)に勤め、 貧苦を去て富楽に志し、同類の邪魔せずして自から安楽を求め、五十、七十の寿命も永きものと思うて、父母に事(つか)え夫婦相親(あいした)しみ、子孫の計(はかりごと)を 為し又戸外の公益を謀り、生涯一点の過失なからんことに心掛(こころがく)るこそ蛆虫の本分なれ。

否な蛆虫の事に非ず、万物の霊として人間の独り誇る所のものなり。

唯(ただ)戯と知りつつ戯るれば心安くして戯の極端に走ることなきのみか、時に或(あるい)は俗界百戯の中に雑居して独り戯れざるも亦(また)可なり。

人間の安心法は凡(およ)そこの辺に在て大なる過なかるべし。

2012年4 月25日

NO.105-2(NO.105-1関連その1)山下流サラリーマンの流儀

今回「105-1(メインコラム)の関連その1」として、ご紹介するのは、「スティーブ・ジョブズ驚異のイノベーション」(カーマイン・ガロ 著)です。

“山下流サラリーマンの流儀”も素晴らしいけど、“ジョブズの宇宙に衝撃を与えるようなビジョン”も素晴らしい!

 

「スティーブ・ジョブズ驚異のイノベーション」(カーマイン・ガロ 著)

■「ジョブズならどうするだろうか?」。ビジネスや人生についてジョブズが指針としている7つの法則を使うと、いやでも今までと違う考え方をするようになるはずだ。

 

法則1:「大好きなことをする」 スティーブ・ジョブズは心の声に従ってきたし、それがよかったのだと言う。

 

法則2:「宇宙に衝撃を与える」 ジョブズは、自分と考え方が似ていて自分のビジョンに賛同する人々、世界を変えるイノベーションへと自分のアイデアを変えてくれる人々を惹きつける。アップルのロケットは情熱が燃料、ジョブズのビジョンが目的地だ。

 

法則3:「頭に活を入れる」 創造性がなければイノベーションは生まれないが、スティーブ・ジョブズにとって創造性とはさまざまな物事をつなぐことを意味する。幅広く体験すれば人間の体験を深く理解できるようになると信じているのだ。

 

法則4:「製品を売るな。夢を売れ」 アップル製品を買う人々をジョブズは「顧客」だと見ない。夢や希望を持つ人々だと見る。そして、その夢の実現を助ける製品をつくるのだ。

 

法則5:「1000ものことにノーと言う」 洗練を突きつめると簡潔になるとジョブズは言う。iPodからiPhoneのデザインまで、製品のパッケージからウェブサイトの機能まで、そのイノベーションは、不要なものを取り除き、必要なものの声が聞こえるようにすることである。

 

法則6:「めちゃくちゃすごい体験をつくる」 アップルストアは顧客サービスとはこういうものだという基準になった。アップルストアを世界最高の小売店としたシンプルなイノベーションは他の分野にも応用可能で、どのような事業でも顧客と心からのつながりを長期的に結ぶことができる。

 

法則7:「メッセージの名人になる」 ジョブズは傑出した語り部で、企業の製品発表を芸術の域にまで高めた人物だ。世界一のイノベーションを思いついても、まわりの人を巻き込めなければ意味がない。

 

■「シンク・ディファレント」する個人やブランドの例を紹介する

キャリア (法則1:「大好きなことをする」)

ビジョン (法則2:「宇宙に衝撃を与える」)

考え方  (法則3:「頭に活を入れる」)

顧客   (法則4:「製品を売るな。夢を売れ」)

デザイン (法則5:「1000ものことにノーと言う」)

体験   (法則6:「めちゃくちゃすごい体験をつくる」)

ストーリー(法則7:「メッセージの名人になる」)

2012年4 月23日

NO.105-1(メインコラム)山下流サラリーマンの流儀

今週のテーマは「山下流サラリーマンの流儀」です。

25番目の平取締役からの大抜擢で松下電器の社長に就任(1977年)した山下俊彦さんが今年2月28日に亡くなりました。

私は20代のころ山下俊彦さんの著書から大きな刺激を受けた一人です。

“山下流経営の極意” もさることながら “山下流サラリーマンの流儀” は味わい深く引き込まれます。

山下さん曰(いわ)く、

私は課長に就任した時、会社を毎日定時退社することに決めました。

以来私はこのルールを守り続けています。

けっこう強烈ですよね(笑)、

では山下さん 定時に帰宅して何をするのか?

一つはこれからの松下について自宅で静かに考えるために使います。

二つ目は、歴史の本と宇宙に関する本を読むためです。

山下さんって趣味人なんだぁ~? と思いきや、山下さんにはちゃんとした理由があったのです。

歴史や宇宙の本を読んでいると、仕事で押し潰されそうになっている自分が、何とも“ちっぽけ”に思えてくるのです。松下で悩んでいることなど“ちっぽけ”で“取るに足らない“ことだと思えてくると心が落ち着いてくるのです。

私はこの“山下流サラリーマンの流儀”を知ってからと言うもの、 疲れると自然に「歴史」や「宇宙」の本を欲する体になってしまいました(苦笑)。

せっかくの機会なので、ここで最近読んだ、 「宇宙は本当にひとつなのか」(ブルーバックス)のくだりをご紹介します。

■「宇宙観測の結果、2003年を境に、宇宙の概念がすっかりひっくり返ってしまいました。 原子できている物質は宇宙全体の5%にも満たないことが判明したからです。 残りの96%は何なのか。実は約23%が暗黒物質で、約73%を占めるのが暗黒エネルギーなのです。 その正体を暴く研究は世界中で進められており、10年以内には解明できるのではないかと期待しています。」。

■「地球から一番近い天体の月まで光の速さで1.3秒、地球から太陽までは光の速さで8.3分かかります。太陽系で一番遠い海王星は、太陽から光の速さで4時間かります。 もし仮に、この瞬間、太陽が何らかの理由でなくなってしまっても、私たちは8分経った後で、「おっ!」と驚くということになります。」。

 

どうです?宇宙スケール?

福澤諭吉は「人間など大宇宙に比較すれば 蛆虫(うじむし)みたいなものだ。」と言っていますが、

“福澤の人間蛆虫論” も “山下流サラリーマンの流儀” も根っ子は同じですね。

2012年4 月20日

NO.104-3(NO.104-1関連その2)人生の正午

今回(104-1のメインコラム)の関連資料としてご紹介するのは、「ユング名言集」(カール・グスタフ・ユング 著)です。

 

「ユング名言集」(カール・グスタフ・ユング 著)

 

☑人生の本質をつかめ

人間にとって決定的な問いは「お前は無限という状況にかかわっているかどうか」である。それが人間にとって基準となる。無限の重要さを知っているときには、私は自分の関心を不毛で無意味な事物に向けることはできない。もし無限という状況を知らないときには私は自分だけがもっているとうぬぼれている特性のおかげで自分がこの世でなにがしかの人物になれたと主張する。その特性とはおそらく「私の才能」あるいは「私の美貌」といったものであろう。ところが人はこうした特性を頼りにすればする程、それだけますます人生の本質がわからなくなり生活は全く不満足な有様となる。その人は視界がせまいためにやがて自分が中途半端な人間であることをとり いたずらにねたみや怨念に駆られることになる。これに反しもし人がすでに自分の生涯の中で、自分が無限なる状況に接したと感じ、かつそれを理解したならば、その人のもろもろの願望や心がまえも変化する。人はただ人生にとって本質的なるものを把握したときにのみ有効な生活をおくれるのであって、もし本質的なるものをもっていない場合にはその人の生涯は台無しになる。

 

内なる声がおしえる自分の使命

豊かな個性の持主は常に使命をもっており、しかもそれを信じている。使命遂行の原動力となるのは、自分の内なる声に語りかけられることだ。

 

内なる声のもつ危険性

内なる声を聞くことにも問題はある。これにはひそやかなおとし穴や、わななどが仕かけられていることがあるからだ。内なる声にはしっかりとした安全装置が設けられる必要がある。さもないと、ちょうど人生そのものがきわめて危険であり、邪道に陥りやすいのと同様に、危険かつ不確かな事態になるおそれがある。しかし自分の人生で失敗などするまいとする者は、けっして成果を得ることはない。個性の育成は、ひとつの冒険である。内なる声の霊(デーモン)は、実は最高の危険と不可欠の援助を同時に意味している。このことはまさに悲劇的であるとともに、必然的であり論理的である。

 

☑文化は意識の拡大

あらゆる文化は自己意識が拡大されることだ。

 

☑完璧ではなく充実した生を求めよ

私はけっして完璧な人間になるといった妄想を抱いたことはない。私の根本原理は次のとおりだ。「後生だからどうか完璧な人間などにはならないでくれ。たしかにその際個々の状況によるという制約はあるが、あらゆる手段を用い充実した生き方をするべきだ」

2012年4 月18日

NO.104-2(NO.104-1関連その1)人生の正午

今回「104-1(メインコラム)の関連その1」として、ご紹介するのは、「人生観・歴史観を高める事典」(渡部 昇一 著)です。

 

「人生観・歴史観を高める事典」(渡部 昇一 著)

☑自分探しの旅は、徹底して自分を謙虚に見つめ、探りを入れるべきものは探りを入れるという姿勢が大切である、ということです。従来の価値観という曇ったメガネだけを見つめるのではなく、先人の知恵や、いま問い直されている視点で見つめることも必要です。しかしその中でも特に大切なことは、謙虚に、そして真摯に己を見つめるということです。

 

☑近代科学は分析・分解によってすべてを分かろう、明かそうとしてきた歴史と言っても過言ではありません。そしてその思想が世界中の文明国を席巻した時代でもあったのです。この分析による科学を要素還元主義と言います。要素、つまり部分が分かれば全体が分かるという立場でした。現代が時代の大転換点だと言われる一番のポイントは、この近代思考が行き詰ったこと、そしていま、その「分けてものごとを見る」「客観的なものだけが正しい」とする囚われた近代思考から自由になることが求められていることをまずもって知ってもらいたいのです。

 

☑人間の自己実現とは、どんぐりが樫の木になるように、自分の潜在力、特に精神的な潜在力が引き出されていくことにあると思うのです。それが人間の喜びであり、人生の生きがいであると思うのです。とするならば、どうすれば潜在にある可能性を引き出すことができるのか、どうすればその可能性を探し出すことができるのか、それには自分の「内なる声」に耳を傾けるしかないというのが、私の答えです。自分の心の一番奥から、かすかに、聞こえてくるか聞こえないかの低い声でささやきかけてくる声を聴くことです。

 

☑この内なる声は、自分の願望であったり、愛情であったり、良心であったりと、さまざまですが、それは未来をも予知している時があることが最近の学者の研究で分かっているようです。この内なる声に耳を傾けてそれに従うことや、心の底でうずく欲求に従うことは、とりもなおさず自分の可能性の追求であり、それを大切にすることが、生きがいにつながるのだと思います。

 

☑心理学者マズローの言葉に、「どうすべきか迷っている時は、ホンネに忠実であれ」というものがあります。この「己に対して忠実なれ」ということは、簡単に言えば、「良心に恥じないようにせよ」ということでしょう。自らを内省した時に、まず自らに正直であること。いい加減なものにとどめないこと。しかと分からないのなら、分からないという正直さは貫き、心の中で生煮えのような状況でも我慢する。そうすると、ある時、何かが縁となって、その声がしかと聞こえ、自分のアイデンティティや哲学といったものが自分のものとなって心にストーンと落ち、確立されるのではないでしょうか。「己に対して忠実なれ」とは、人生で一番大切な、最後の教訓なのです。