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2017年1 月21日

NO.206-1(メインコラム)見たいと思う現実

古代ローマ期のユリウス・カエサルは、人間の本質について

「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと思う現実しか見ていない。」

と言いました。

現代の人たちはどうでしょう。

昨日、共和党のドナルド・トランプ氏が第45代大統領に就任しました。

多くの人たちが

「自分達の『見たいと思う現実』が脅かされてしまった。いったいこれから何が始まるのか?」

と身構えているように思われます。

 

そこで今回はこの『見たいと思う現実』について取り上げることにしました。

 

さて『見たいと思う現実』とは何か・・・・?

そうそう確か本棚にこんな本があった、と思いさっそく手に取りました。

 

「拝啓マッカーサー元帥様・・占領下の日本人の手紙」(岩波現在文庫)

 

この本によりますと、

終戦後、連合軍総司令官として君臨したマッカーサーに宛てて送られた手紙の数は約50万通。

手紙の差出人は、政治家,医師,農民,主婦,小学生まであらゆる立場の日本人で、

その手紙の内容の大半はマッカーサーを賛美するものだったとのこと。

「日本人はマッカーサーに何を伝えたかったのか」。その手紙が何通も掲載されています。

以下この本の抜粋です。

「東京の製薬会社に勤めていたものの、今は滋賀県に疎開して飛行場の開拓

をしているという知識人(早稲田大学専門部政治経済科卒業)は、マッカーサーをこう賛美する。

『閣下(マッカーサー元帥)の御指導実に神の如くその眼光は実に日本社会の隅々まで徹し

全謂(あらゆる)御指導は見事に一々的中し吾々は衷心よりその御指導が人道的であつて

且つその御指令が到底日本の政治家共には及ばざる善政であることを感謝致して居るのでございます

(中略)閣下に対する尊崇の念は日本天皇に対しての尊崇の念の如く形式的ではなく真に心からの

敬服、尊崇の念を懐いて居ります』 」と。

 

日本人の「見たいと思う現実」について、

日本人の「見たいと思う現実」が変化する早さについて、

気付かされる興味深い資料です。

 

では同じ時期、アメリカ人の「見たいと思う現実」はどうだったのか?

そうそう確かこんな本も本棚にあったと思い、手に取りました。

 

シーラ・ジョンソンの「アメリカ人の日本人観」(サイマル出版会)

 

以下この本の抜粋です。

 

アメリカ人の日本人観と中国人観はシーソーのような関係にある」。

中国と日本への好感度は並立することは決してなく、一方の評価が上がると

他方は下がる関係にあり、歴史を通じて必ずどちらかが悪者になっていた」と。

 

また次に手にした

「悪役レスラーは笑う・・・「卑劣なジャップ」グレート東郷」(岩波新書)に

日本の真珠湾攻撃から2週間後に発行された『タイム』(1941年12月22日付)の

記事の紹介がありましたので以下抜粋します。

 

「あなたの中国人の友達を ジャップと どう見分けるか」

「①中国人の顔の表情は穏やかで親切そうであり、日本人は攻撃的で尊大。

 ②日本人は話すときにはっきり意思表示をせず、脈絡もなく笑う。

 ③日本人の歩き方は型苦しく、直立したままかかとに力を入れて歩く。」と。

 

いずれも、

アメリカ人の「見たいと思う現実」について、

アメリカ人の「見たいと思う現実」が変化する早さについて、

気付かされる興味深い資料です。

 

さて、「見たいと思う現実」

最後に 私たちは「現実」をどう捉えているのか? 改めて考えてみましょう。

 

どうやら、現実とは、

★現実=正しい前提 × 正しい事実 × 正しい価値観

ではなく

★現実=見たいと思う前提 × 見たいと思う事実 × 見たいと思う価値観

ではないかと。

それも「見たいと思う」の3乗ではないかと。