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2010年3 月19日

NO.4-3(NO.4-1関連その2)視点をずらす

福岡 伸一氏は著書「動的平衡」の中で、人間は“ちくわ”であると看破しています。



 

人間は、食物を“ちくわ”(空洞な消化管)の中に放り込みます。すると食物はアミノ酸に分解されて、消化管から体内に吸収されます。


さらに吸収されたアミノ酸は、体内でタンパク質に合成されます。その一方、古い細胞は分解されて、消化管の外へ次々と排出されていきます。



 人間の身体は、なんと数カ月の間に全ての細胞が入れ替ってしまうのです。



 「人体は、わずか数カ月でまったくの別物に入れ替わる」という事実を知ると、 ”頭が古い視点に縛られていることが奇妙”に思えてきます。



 

さて今回は、メインコラム(視点をずらす)の関連資料として、名著「動的平衡」を紹介します。


“ちくわ”の感覚を体で味わっていただければと思います。

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動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか (福岡伸一 著)

 

 

タンパク質には、元の生物体を構成していたときの情報がぎっしり書き込まれている。他の生物の身体である食物・・・つまりタンパク質をそのまま体内に入れてしまうと、他者の情報が、私たち自身の情報と衝突し、干渉し合い、トラブルが引き起こされるから、情報を一文字(アミノ酸)にまで解体する。それが消化である。

 

 

タンパク質はアミノ酸にまで分解され、アミノ酸だけが特別な輸送機構によって消化管壁を通過し、初めて「体内」に入る。体内に入ったアミノ酸は血流に乗って全身の細胞に運ばれる。そして細胞に取り込まれて新たなタンパク質に再合成され、新たな情報=意味をつむぎだす。

 

 

新たなタンパク質の合成がある一方で、細胞は自身のタンパク質を常に分解して捨て去っている。なぜ、合成と分解を同時に行っているのか?

 

 

その問いはある意味で愚問である。なぜなら、合成と分解との動的な平衡状態が「生きている」ということであり、生命はそのバランスの上に成り立つ「効果」であるからだ。

 

 

 

生体を構成している分子は、すべて高速で分解され、食物として摂取した分子を置き換えられている。身体のあらゆる組織や細胞の中身はこうして常に作り変えられ、更新され続けているのである。

 

 

だから、私たちの身体は分子的な実態としては、数ヶ月前の自分とはまったく別物になっている。ここで私たちは改めて「生命とは何か?」という問いに答えることができる。「生命とは動的な平衡状態にあるシステムである」という回答である。

 

 

 

私たちにできることはごく限られている。生命現象がその本来の仕組みを滞りなく発揮できるように、十分なエネルギーと栄養を摂り、サスティナビリティ(永続性)を阻害するような人為的な因子やストレスをできるだけ避けることである。

 

かくして私たちは極めてシンプルな箴言に出会うことになる。それは、アンチ・アンチ・エイジングこそが、エイジングと共存する最も賢いあり方だということである。

 

 

 

 

自然界は渦巻きの意匠に溢れている。渦巻きは、おそらく生命と自然の循環性をシンボライズする意匠そのものなのだ。そのように考えるとき、私たちが線形性から非線形性に回帰し、「流れ」の中に回帰していく存在であることを自覚せずにはいられない。

 

2010年3 月17日

NO.4-2(NO.4-1関連その1)視点をずらす

私は、70~80歳代の人生の先輩にお会いして、お話をうかがうことをライフワークとしています。

そして話の最後に、いつもおうかがいする「5つの問い」があります。


その問いとは……


問1) 幸福をもたらした一番の要因は何ですか?


問2) 後悔していることは何ですか?


 問3) 人生で本当に大切なモノって何ですか?


 問4) 人生の転機になったことは何ですか?


 問5) もし、今、あなたの眼の前に、40歳代の時の“あなた”がいたら、何をアドバイスしますか?


……という5問です。 

私の父は、平成13年に死にました。 倒れる1カ月前に私に話してくれたこと、それが結果として父の遺言となりました。


私はその父の言葉を、自分の“視点をずらす”ための“仕組み”として活かしています。


 今回4-1のメインコラムの関連資料として、私事ですが、私の父が私に残してくれた言葉を紹介させていただきます。


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【人生の先輩に聞く】

1)お会いした先輩のプロフィール

 

お名前 :片木 宗雄さん(男性)

 

主な経歴:大正13年兵庫県生まれ。6歳の時に父親を病気で失う。以後、京都で、母、弟、妹の4人暮らしがスタート。京都大学を卒業後、上京し、東京通商に入社、後に丸紅飯田(現丸紅)により吸収合併される。退職後は「杉並シルバー囲碁の会」の会長を務めるも、70歳の時に脳梗塞に倒れ5年間の闘病生活を経て、平成1375歳で死亡。

 

 

脳梗塞で倒れる1ヵ月前に、父親が、偶然、息子である私に話した内容を書き起こしました。私の抱いていた父親像は「1にも2にも競争という価値観で戦後の高度成長時代を駆け抜けてきた人」でした。ところがその時の話の内容は、それまでのイメージと180度違うもので、大変驚きました。結果的にこれが私に対する遺訓となりました。

 

父親に対して“5つの問い”をしたわけではありませんが、当てはめてみると、35にあたる事柄について言葉を遺してくれました。

 

 

問3:ほんとうに大切なモノって何ですか?

 

 

年に一度、丸紅のOB会に出席して思うことは、人生で一番大切なのは、心と体の健康。10年前の退職時、取締役だった、部長だった、課長だった、ヒラ社員だった──なんてことは、10年の時間の経過がまったく意味の無いものにしてしまう。10年という時間の経過は人生を変えてしまうには十分すぎる時間。10年後の今、心身ともに健康でない人はOB会に来られない。無理して頑張ったったところで、たかが知れている。健康を害したら元も子もないぞ。

 

 

 

問5:もし今、あなたの目の前に40歳代の時のあなたがいたら、何をアドバイスしますか?

 

 

 

あれは、40歳の時だった。勤めていた会社が傾き、丸紅飯田に吸収合併されることが決定。体のチカラが全部抜けてしまった。そんな時、仲間から「独立して事業を興そう」という話が持ちかけられた。三日三晩眠れぬほど悩んだある土曜日の会社の帰りだった。バスから降りて歩いていると、原っぱで黄色い声を出して野球しているおまえの姿が目に入った。「ああ、俺には無理だ」。そして会社に残ることを決心をした。

 

情けない話だが、70歳の今になっても、「もし40歳のあの時、自分の気持ちに従っていたら、今、どうなっていただろう」と思うことがある。おまえ(息子)も、これから先、人生の岐路に立つ時が来ると思う。その時、自分の気持ちの奥底をよくよく確認して、その時の自分の気持ちに正直に行動してほしい。これは父の願いでもある。そのために必要なら、この家、潰したって構わないぞ。一度しかない人生、勝負する価値はあると思う。

 

 

 

2010年3 月15日

NO.4-1(メインコラム)視点をずらす

私たちコーチには、重要な役割があります。


それはクライアントが、はまっている「視点を”ずらす”」お手伝いをする役割です。


その役割がなぜ重要かといいますと、視点は人生の質に大きな影響を与える要素だからです。


アナタの人生=【事象 × (視点⇒感情・気持)】 × N


しかし、ほとんどの人は、「視点を”ずらす”」術(すべ)を学ぶことの重要性に気付かず一生を終えます。

もったいないことです。

例えば私の最近の経験ですが、

【事象】会社からリストラ宣告を受けた人が、【視点①】「リストラ=自分のキャリアの終わり」という視点にはまっていました。



この人は、

【視点②】「リストラ=これまでセカンドライフに踏み出すキッカケを掴めなかったが、今回背中を押してもらえたお陰で、早期に次のチャレンジをスタートする機会を得た」へと、視点を“ずらす”ことができて、次の一歩を踏み出しました。



では、「視点を“ずらす”」術(すべ)とは何でしょうか? それは「視点を楽しむスキル」と「時空を超えるスキル」を自分に備えることです。私の経験上この2つ、最も実効あります。(ネーミングは、私が勝手に付けました)



まず、「視点を楽しむスキル」。
何かの視点に囚われた際に「この視点に自分はこだわってしまっているかも。これを視点①としよう」「目先を変えて、視点②、視点③の視点としてはどんなものが想定できるかな?視点に正解はないからな」などと、連想ゲームを楽しむ感覚で他の視点を探すことができる能力といえます。



次に「時空を超えるスキル」。
“成功も失敗もできる人生を喜ぶ”──この感覚を時空の中で味わう能力です。次の①②③の問いを自分の中に持ち、いつでも取り出せるようにしておいて下さい。



①目の前で今起きた事に感謝。後になってどんな学びを自分に気づかせてくれるだろう。今から楽しみだ
②そう言えば、10年前、自分が真剣に悩んでいたことって何だっけ?
③そう言えば、自分が”一番大切にしている価値観”や”人生の大きな目標”って何だっけ?



視点を“ずらす”」2つの術(すべ)。身に付くまで、折りに触れて何度も練習してみてください。



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Kimo



アナタの人生=【事象×(視点⇒感情・気持)】×N  !!

2010年3 月12日

NO.3-3(NO.3-1関連その3)部下の管理

「マネージメント」の本質を論じている著作物として、前回はカルロス・ゴーン氏の「ゴーン道場」を取り上げました。今回も同様の観点から、ロバート・K・グリ-ンリーフ氏の「サーバント・リーダーシップ」について触れてみたいと思います。



ゴーン氏は「共感能力」がマネージメントの要諦である、と説いていました。その背景には、ヨーロッパ型の福祉的な資本主義を感じます。


一方、今回のグリ-ンリーフ氏は「奉仕する」という観点からマネージメントの要諦を説いています。その背景には、アメリカ型資本主義の匂いが感じられます。



現在、米国では「支配型リーダー」から「奉仕型リーダー」へ、見直しの機運が萌芽しています。今回は、その「奉仕型リーダー」のエッセンスをメインコラムの参考文献として紹介しましょう。



皆さんは、「奉仕型リーダー」をどう捉えますか?

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「サーバントリーダーシップ」(ロバート・K・グリーンリーフ著)


従う価値のある権限とは、フォロワー(従う者)たちが自分の意志で意識的に、リーダーに対して許したものだけである。サーバントとしての資質を明確に持っていることがリーダーの条件で、その資質の優劣に応じて、許される権限も変わってくる。こうした考え方が今後広まっていけば、本当に成長が見込める組織は、サーバント主導型のものだけとなるだろう。



サーバント・リーダーとは、まず奉仕したい、奉仕することが第一だという自然な感情から始まる。それから、意識的な選択が働き、導きたいと思うようになるのだ。そうした人物は、そもそもリーダーである人、並々ならぬ権力への執着があり物欲を満足させる必要がある人、とはまったく異なっている。



☑そもそもサーバントである人は、他人にとって優先順位の高いものがその人に与えられているかどうかを気づかう。違いを判断するのに最もいい方法は次のような質問をすることだ。「奉仕されている人々は、人間として成長しているか」「奉仕されることで、彼らはより健康になり、より賢くて自由で、自立した存在となって、自分自身もサーバントに近い存在になっているだろうか」。



生まれながらの真のサーバントだけが、まず耳を傾けることによって問題に対処する、私は考えている。あらゆる問題への対応は、まず聞くことだという態度ができるまで訓練を積めば、生まれながらのサーバントと同等になれるかもしれない。


☑わずかの間でも、一歩下がって自分のいる位置を確認できるなら、意図的に何かを放置する技術を身に付けたと考えていい。適度に俯瞰しながらゆったりと進むことは、自分の才能を有効に使うための最善策のひとつだ。サーバント・リーダーは常に自問すべきである。「どうしたら、最良の奉仕ができるだろうか」と。


サーバント・リーダーはいつでも共感し、常に受け入れる。だが、ある人のパフォーマンスなどは、その成果に応じて受け入れを拒絶する場合もある。


2010年3 月10日

NO.3-2(NO.3-1関連その1)部下の管理

「共感」の意味を調べると、『他人の体験する感情や心的状態、あるいは人の主張などを、 自分も全く同じように感じたり理解したりすること』(広辞苑 第六版)と出ています。



「自分も同じように感じたり理解したりすること」を別の言葉で表すなら、「相手の立場で、モノを感じたり、考えたりする」ということでしょう。

さて、今回は私の考える「共感のコツ」を披露いたしましょう。



まず大事なポイントは、自分の好奇心を相手に対して全開にして、会話での発言量を相手が7、自分を3程度の割合にすること。



そして、直前に何度も「なるほどぉ~」「そうなんだぁ~」「そういう見方もあるよねぇ~」と、表情豊かに声出しのリハーサルをしておくことです。




それでは、今週のテーマ「部下の管理」にまつわる資料として、かのカルロス・ゴーン氏の著書「ゴーン道場」をまとめてみましょう。

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「ゴーン道場」(カルロス・ゴーン 著)


☑人を育てるということは、チャレンジさせたりアドバイスを与えたりすることにより、育てられる側の人間に「変化や違いをもたらす」(make a difference)ということです。


☑モチベーションは会社が成功するための基本的な要因です。でもこれが難しい。命令しても上がるものではなく、各人が自発的に上げるものです。ただそれを上げるための基本的条件はあります。まずは「共感能力」。すべてはそこから始まる。


【部下のモチベーションを上げるための基本条件】  

共感能力を磨く  

コニュニケーションをとり、周りの状況を理解させる  

「あなたは重要だよ」と認める  

結果に公正な評価を与える  

組織の将来について、明確なビジョンを打ち出す



☑革新的で創造的なものづくりができる環境をつくるには、第一に目的を共有することが大事です。全員が理解できて、意欲が持てる目的がなければなりません。


いま日産では二酸化炭素を排出しない「ゼロ・エコミッション車」に取り組んでいますが技術者たちのモチベーションを上げる特別な努力は必要ありません。地球保護という目的が明確だからです。研究者や開発者にとって、プロジェクトにかかわることが世の中や会社、チーム、自分自身にも違いを生み出す機会があることが必要です。


☑リーダーを際立たせる資質は「モチベーションを喚起すること」、「信頼を得ること」、「成果を示すこと」の三点です。何よりも大切なのは、リーダーに備わっているモチベーションを喚起する能力です。ある研究で、ビジネスマンの業績のうち、仕事の知識や技術によるものは15%であり、残りの85%は仕事への取り組み姿勢や人との接し方によって決まる、と読んだことがあります。その結論は私自身の経験からもそう思えるのです。


リーダーシップとは、他の人の備え持つ可能性を解放してあげる能力です、他の人が自分で可能だと思う、それ以上のものを達成させる。その手伝いをすることなのです。よいリーダーはさらに多くのリーダーを創り出すものです。従う人を増やすのではありません。