NO.222-1(メインコラム)
AI(人工知能)に対する向き合い方
最近、仕事の必要性に迫られて、AIに関する文献に接する機会が急激に増えています。
そうした中、「この先我々はAIに対してどう向き合っていけば良いのか?」
との問いに対して、
私は自分なりの答えを見つけました。
それは「AIを導入すべきか否か」を検討するより「AIを理解する」ことの方が遥かに
重要だと言うことです。
AIを理解することで、何が起こるのか?それは
AI導入を導入するか否かの問題よりもっと重要なことが明確になります。
それは次の2つです。
(1)AIを理解する =本来、人がやらなくてはならないことが明確になる。
(2)AIを理解する =本来、人が磨かなくてはならないことが明確になる。
まず(1)の「やらなくてはならない」ことを見てみましょう。
機械学習の研究者トーマス・ディートテリッヒは、
「人(組織)とAIが協働するために必要な条件は、
高信頼性組織(HRO: High Reliability Organization)が持つ5つの要素を
AI(人工知能)にも組み込むことである」と指摘しています。
【AI活用に求められる組織の5要素】
①失敗に着目し、失敗から学ぶ
②解釈の単純化を避け、多様な専門知識から複数の解釈を生成する
③オペレーションに敏感になり、常に状況が既知の状態かどうかチェックする
④回復に全力を注げるようなチームの管理をする
⑤専門知識を尊重し、誰もが警告を発して操作を一時停止できる組織をつくる
また多くのAI研究者は「AI活用には次の3つのビジネス能力が必要である」
と指摘しています。
【AI活用に求められる3つのビジネス能力】
①AIシステムを構築する能力
②解決すべき課題を設定する能力(目的の設定)←教師データ
③目的を達成するために必要な指標やデータの特定とそれを収集する能力←教師データ
どうでしょか?
「組織の5要素」と「3つのビジネス能力の内②と③(教師データ)」は、
AIを導入すべきか否かに関わらず組織と人が本来やらなくてはならない事柄です。
次に(2)の「磨かなくてはならない」ことを見てみましょう。
多くのAI研究者は「AIは感情と本能を持つことが出来ない」と指摘しています。
(「将来持つことが出来る」と考える研究者、「分からない」と答える研究者もいます)
感情と本能を持たないAIに対して、人が持つ究極の能力は何か?
私はそれを人の心と人の心を繋ぐコミュニケーション能力だと考えます。
私はそれを「AIが獲得できない3つのコミュニケーション能力」として次のように定義します。
【AIが獲得できない3つのコミュニケーション能力】
①相手に気付きを与える力
【目的】相手の内省を引き出す
②相手を動かす力
【目的】相手に腹落ちさせて行動変容させる
③相手に伝える力
【目的】相手に自分の考えをスムーズに伝える
どうでしょか?
「コニュニケーションの3つの能力」は、AIを導入すべきか否かに関わらず
人が本来磨かなくてはならない能力です。
さて現在、日本はAI研究の分野で、アメリカ、中国に対して周回遅れと言われています。
しかし、今からでも遅くはありません。多くの日本人が
AIを理解して、非AI(「やらなくてはならないこと」と「磨かなくてはならないこと」)
を明確にすることで、非AIを強みとすることが出来れば、
非AIとAIをハイブリッドさせる技術で日本企業が世界のトップランナーとなる日が来る
と私は確信しています。
我々は元来 組合せと改善と工夫を強みとしてきた人種ですから。
以 上
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